強くなって帰ってくる夏休み

EyeCatch

小学生の夏は兄と二人で大阪にある祖父母の家に一週間ほど泊まりに行くのが恒例でした。

東京駅まで送りに来てくれた母親と新幹線のホームで別れて窓越しに手を振り合い、
新幹線が出発するときは少し寂しいのですが少し泣いた後はケロっとしたもので、
兄とトランプをしたり景色を眺めたりしながら新幹線の旅を楽しみました。
母と別れる寂しさもありましたが、もうすぐ祖父母や従兄に会えるんだという期待も大きかったのだと思います。

祖父母の家は畑の中にあるような田舎の家で庭が広く、キャッチボールをしたり花火をしたりして遊びました。
当時はUSJがなかったので「ひらかたパーク」という遊園地にも連れて行ってもらいました。

近くに住んでいる同世代の従兄と相撲をしたり。
畑に連れて行ってくれて蛇を見つけて、初めて見る蛇に尻込みする私を、
従兄が笑いながら蛇を持って追いかけまわして泣かされたり。
叔母さんが従兄の頭をゲンコツで殴りつけて今度は従兄が泣いてしまい、
泣き止んだ従兄と仲直りのスイカを食べた後、従兄のお兄さんが原付に乗せてくれたりもして、
そこでしか体験できない様々なことが楽しみで仕方なく、
兄も私も毎年とても楽しみにしていた旅行でした。

夏休みの宿題の自由研究の課題は弓作りでした。
祖父に森の中に連れて行ってもらい竹を切ってきて、
その竹を割って弓を作ってタコ糸を張り、
弓を握る部分にもタコ糸をぐるぐる巻いて握りやすくし、
細い竹で矢を作って、
実際にかなりの距離を飛ぶ本格的な弓矢を作成しました。

小学生にはその弓矢がとても誇らしく、なんだか自分が強くなったような気がして、
胸をはりながら弓矢を背負って東京へ帰ってくるのでした。

学校が始まり友達に弓矢を見せびらかし、
先生に危ないからやめなさいと注意されながらも校庭で飛ばして遊んだりし、
数本作った矢がすべて折れて使えなくなるまで遊ぶことができました。

その夏の思い出がすべて詰まった宝物の弓矢も、
冬が来るころには枯れてボロボロになり捨てられてしまうのですが、
また翌年になると新しい弓矢が作られるのです。

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