夏休みになると、妹と一緒に大好きなおばあちゃんの家にお泊りに行きました。
おばあちゃんは一人暮らしだったので、特にどこかに連れて行ってくれたりする事もなかったのですが、それでもおばあちゃんとの話が楽しく、母とは違った料理を食べるのも楽しみでした。
夜になって入るお風呂も、普段の家のお風呂とは違ってシャワーがなくて、洗うのに苦労した思い出があります。
また、トイレも汲み取り式でした。
寝る時間になると、おばあちゃんが「蚊帳」を吊ってくれました。私にとってのおばあちゃん家の思い出はこの「蚊帳」が一番大きいです。
普段は、押し入れの奥にしまわれているのでしょう。少し埃くさくて、でも何となく懐かしくて。
私が少し大きくなると蚊帳を吊る手伝いもしましたが、高い位置で留めたりするのでかなり大変な作業でした。今更ながらに、いつも吊ってくれていたおばあちゃんに感謝です。
蚊帳は、普段の生活で使う物ではなかったので子供心にとても面白かったです。蚊が中に入らないように出入りを素早くしなくてはいけないのですが、それでも蚊が入ってしまう事があり、それはそれは地獄でした。痒くて眠れなくて蚊のプーンと飛ぶ音でイライラしていました。
おばあちゃんが蚊取り線香を焚いてくれて、蚊帳の埃のニオイと蚊取り線香のニオイを嗅ぐと、おばあちゃんの家だなぁ、と実感したものでした。
今は亡くなってしまったおばあちゃん。おばあちゃんの思い出とともに、あの蚊帳の中で寝た夜のことが思い出されます。
おばあちゃん家の香り

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