小学4年生の夏休みに、学校からキャンプへ行くことになりました。各班5、6人のグループに分かれて、夕飯のメニューも班ごとに決めます。私の班はカレーを作ることになりました。
人参、玉ねぎ、肉などは各自で少しずつ持ち寄って作ることに決まりましたが、班の中で一人だけ、「カレーを作るならレトルトカレーがいい」と言い張る女の子がいました。
せっかくキャンプに行くのだから、「手作りのカレーを作ろうよ」と皆で説得しても、「私はレトルトカレーが好きだから嫌だ」と言います。「それなら好きにすればいいよ」と、その子は材料を持ち寄らなくてもいいことに決まりました。
キャンプ場に到着して説明を聞き、テントも張り、いよいよ夕飯を作る時間になりました。持ち寄った材料をカレー用に切って、仕上げにルーを入れようとした時、誰もカレーのルーを持ってきていないことに気づきました。
ごはんは炊きあがっても、肝心のカレーはルーがないので、ただの野菜の水煮です。その様子を見ていたレトルトカレー好きの女の子が、そらみたことかとばかりに、レトルトカレーをごはんにかけて食べ始めました。分けてあげるという気持ちは全くないようでした。
夜になり、キャンプファイアの火を見つめながら、「レトルトカレーを持ってくればよかったね」と、隣に座っていた気の合う男の子と話しました。先生にはカレーが作れなかったことは黙っていました。本当にあの頃は適当でのんびりした、いい時代でした。
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